"──「方舟童話」三冊目。不思議の国の冒険譚。
蒸気機関が発明され、人々の生活が近代化された世界を描く長編小説。元は作者が身近な人物への贈り物として執筆した話だったという。
冒頭で語られている「アリス」こそが、その人物の名前と思われるが、彼女にまつわる記録は一切残っておらず、詳細は不明である。"
さぁ、とっておきのお話を。
真っ白なペンキが空想の国を塗り潰す前に。
『方舟童話』第三巻「黄金色の昼下がり」
"Daydream"
人間¦18歳¦148cm
とある田舎の外れに建つ一軒家で暮らしている少女。ごく普通の人間だが、魔法が使える不思議な古書を何故か手元に所持しているため、近所の悪ガキ集団から「魔女」と呼ばれ、日々しょうもないイタズラを吹っかけられている。ピンポンダッシュやめろッ! ガキ共!
細かいことは気にしないし人の話もあんまり聞いてない超呑気なケセラセラ思考。ある日たまたま遭遇したルメリアから初対面にも関わらず面白半分で「記憶」を奪われ、過去のことが思い出せなくなってしまった。生来ぼんやりしていたこともあってさほど困りはしなかったが、だからと言って放っておくべきでもないとアルフが騒ぐため、彼と共にルメリアを追う旅へ出ることに。
「んー……まぁ、なんとかなるんじゃない? 根拠は特にないけどさ」
「なんか知らんがアルフが狙われてる今がチャンス! じゃあね相棒! 後は任せた!」
「まぁね~、わたしだって一応やればできる子だもん。ふふん」
導くのは運命か。
砂の海より舞い上がる、千夜の夢は始まったばかり。
『方舟童話』第三巻「願いごとは三つまで!」
"Bandit"
人間¦24歳¦177cm
「砂漠の国」を拠点としている盗賊団の下っ端……だったのだが、色々あってティチェリアの元へ単身転がり込んだ挙句、彼女の記憶を取り戻す旅に巻き込まれ……もとい同行することになった。
冗談みたいに運が悪すぎる上にお人好しで真面目なので、何かと損な役回りを押し付けられがちな本作の胃痛枠。善良すぎて盗賊には到底向いていない。
貧民街で子どもたちの兄貴分として育ったので面倒見が良く、頼りがいもあるはずなのだが、何をされても怒らない優しすぎる性格のせいかティチェリアやロハには若干ナメられている。
ありとあらゆる修羅場を経験しすぎているせいで不幸に対する感覚はややズレており、常人の身にはまず降りかからないようなトンデモ不運エピソードを平然とした顔で次々出してくる愉快な男。波乱万丈にも程がある。
「ツッコミが追いつかないんでボケ倒すのやめてくれねえっすか!?」
「だあああもうこうなったらヤケだ! こっからは俺が相手っすよぉ!」
「こんな思いをしたのは全身に爆弾巻き付けられて敵のアジトに単独で突っ込まされたとき以来っすねぇ……」
指先が奏でるは天上の調べ。
水面に映るは花かそれとも。
『方舟童話』第三巻「ドクター・エーゲルヴァッハの手記」
"Bard"
人間¦年齢不詳¦185cm
「砂漠の国」の地下牢でティチェリアとアルフが出会った謎多き美男。
旅の吟遊詩人を名乗っているがどこか胡散臭く、年齢や身分、素性など詳しい情報は何もかも不明。
ティチェリアたちの後に続いてしれっと脱獄した後も、行く先々で何度も目の前に現れる、飄々とした性格で人の話をまったく聞かない実に困ったナルシスト。嗚呼……美しい僕ッ! 美しすぎて暗闇でも輝く。(謎原理)
どこを取っても怪しさ抜群だが、どういうわけか各地に広い人脈を持っているらしく、様々な情報をティチェリアたちに提供するなど頼りになる一面も。
またリースからは「先生」と呼ばれ、異常なまでに慕われている。
「やぁ、ティチェリア! こんなところで会うとは奇遇だねぇ!」
「どうしたんだい、そんなに顔を顰めて。ああ、僕の煌めきが眩しすぎたのかな! すまないねぇ!」
「あっはっは! 心配ご無用! 美しい僕を信じたまえよ」
神の紡ぎ車。落ちたのは麻糸。
立ち上る蒸気の彼方には、今日も茨の塔が見える。
『方舟童話』第三巻「電気羊の眠り歌」
"Mechanic"
人間¦16歳¦160cm
「機械の国」の機械工。仕事はできるが口も態度もガラも悪く、とにかく喧嘩っ早いため、同業者たちからはこれでもかというほど煙たがられている問題児。何見てんだゴラァ!
とある事件から一晩で廃墟と化した「眠りの国」の出身だが、事件当時はたまたま仕事の都合で国を離れていたため奇跡的に被害を免れたらしい。元凶であるルメリアの行方をティチェリアたちが追っていると知り、旅に同行することになる。
手先の器用さを活かして壊れた道具を修理してくれたり様々な便利道具を作ってくれたりと有能であることには間違いないのだが、友好的かと言われるとやはりそうでもなく、特にアルフのことは「なんか気に食わない」という理由だけで隙あらば事故を装って殺そうとしてくる。敵にも味方にも等しく殴りかかる、とっても元気で殺意の高い狂犬。
「チッ、生きてやがったか。うんざりするほどしぶてぇ野郎だな」
「丁度いい、昨日作ったコイツの威力をテメェで試してやるよ!」
「……おい、馬鹿共。遊んでんなら置いてくぞ」
祝福の青い鳥。甘美なる楽園の夢。
彼女が閉ざされた夜の底に、今度こそ私の歌声を。
『方舟童話』第三巻「鳥籠の天使」
"Grave keeper"
人間¦18歳¦157cm
「鳥籠の国」の墓守。まるで天使を思わせるような可憐な微笑みを浮かべる美少女で、性格も真面目で常識的……だが、ヴォルストのことを「先生」と呼び、盲目的に崇拝している。先生さえ絡まなければ大変まともだが、隙あらば先生の話に持っていこうとするので結局のところは誰よりも暴走しがちなやべー女。私はいたって正気ですよ?
元々は違う国の出身らしく、閉鎖的な気質の国民が多い「鳥籠の国」では余所者という理由からあまり馴染めていない様子。またルメリアとは何かしらの因縁があるらしく、彼女の行方を追うためにティチェリア(というか先生)の旅に同行することになった。
「何も恐れる心配はありませんよ、私たちには先生のご加護があるんですから」
「ロハさん! ロハさんちょっと聞いてください! さっき先生が……ってああ! どちらへ行かれるんですか!」
「今度こそあなたの夜を終わらせてみせるわ……ルメリア!」
資料:アリス【Alice】
いつ頃からか、この世界には人ならざる能力を持った少女が一国に一人、必ず生まれるようになった。
「アリス」と呼ばれる彼女たちは成人すると力を失い、同時期に国内のどこかで次のアリスが誕生する。彼女たちが持つ能力はそれぞれ内容が異なっており、危険な存在として差別的な扱いを受ける者から恩恵を与える存在として神聖視される者まで、扱いや立場は国によって様々である。また身分や人種、血筋など一切の法則性もなく突発的に生まれることから、どのような要因がアリスの誕生に繋がっているのかは現在まで明らかになっていない。
盤上を駆け巡るクイーン。
軍靴の音はやがて縺れ、少女の罪は暴かれた。
『方舟童話』第三巻「そして判決は下される」
"Queen"
アリス¦17歳¦162cm
「闇夜の国」の魔女。目を合わせた相手からあらゆるものを奪うことができる能力持ちのアリスで、その力を悪用して各地で問題事を起こしている。
他人を困らせるためならどこまでも行動力を発揮する厄介者。しかし感情の赴くままに暴れ回る一方、常識的な思考も案外持ち合わせているようで、ティチェリアたちの突拍子もない言動に思わずツッコミを入れてしまうこともしばしば。変な連中に手を出してしまったと若干後悔していなくもない。
誰に対しても敵対的な態度を取るが、特にリースとは深い因縁がある様子。また「闇夜の国」に朝が訪れなくなった原因も彼女にあるとされているが……?
「閉ざされた夜の底で永久に眠るが良い!」
「は? 何だよアンタ……っておい! やめろ! 触るな変態!」
「よくもまぁ、平然とした顔でアタシの前に戻って来られたもんだねぇ。その度胸だけは褒めてやろうじゃないか、リース」
砂塵の姫君。語るは千一夜。
楼閣の頂にて青薔薇は凛と咲き誇る。
『方舟童話』第三巻「巡る夜のお伽噺」
"Scheherazade"
アリス¦15歳¦151cm
「砂漠の国」の王女。数年前から国民の前に姿を現しておらず、病床に臥せっているらしいという噂が長年囁かれていた。しかし実際は病気などではなく、ある日王宮に突然現れたルメリアから「笑顔」を奪われたことが表沙汰にならないよう引きこもっていたというのが真相である。おかげで表情筋がすっかり固まってしまった悲運の姫君。
砂を自在に操ることができる能力持ちのアリスでもあるが、細やかな力加減などが難しいらしく、積極的には使いたがらない。それよりも筋肉の力をやたらと過信しており「真の統治者に必要なものは筋力」という謎の信念の元、日々トレーニングに励む脳筋王女。
「何故わたくしが負けたのか。答えは明白、鍛えていなかったからよ」
「この忌まわしき呪いから見事わたくしを救うことができれば貴方がたに恩赦を与えましょう。……それとも、あの豚箱へ戻る方がお望みかしら」
「煩わしいわね。正面から突っ込んだ方が早いんじゃないの?」
さざめくカーテンコールに祈りを。
綴られる戯曲が、貴方からの愛で幕を下ろすように。
『方舟童話』第三巻「街角のプリマドンナ」
"Prima donna"
アリス¦19歳¦169cm
「舞台の国」の女優。国内外で広くその名が知られている大物役者で、評判に恥じぬ圧倒的な歌唱力と演技力を誇る美女。
自身の感情を宝石に変えることができる能力持ちのアリスだが、宝石を作り出すたび体力や精神力をひどく消耗する上、その力を目当てにした盗賊や犯罪者たちから身柄を狙われることもたびたびあったため、自らの能力は一切使わず、アリスであることも極力隠して日常生活を送っている。
何かと苦労の多い立場ではあるが本人はいたって気丈。大女優となった今でも庶民だった頃の感覚が抜けない、明るく優しい作中屈指の常識人である。結婚して。
「ようこそ、舞台の国へ。芸術の花咲き誇るこの美しき都は、いつだって貴方がたの来訪を歓迎するわ」
「帰りに市場へ寄ってもいいかしら? 今日は卵と牛乳が安いの」
「たとえ報われない運命でも、私は最後まであの舞台に立っていたいのよ」
うさぎ穴の底にて。
軋む歯車と回る長針は迷い子の夢に終わりを告げる。
『方舟童話』第三巻「機械仕掛けの方舟」
"Herald"
アリス¦16歳¦155cm
「歴史の国」の記録係。触れた対象の過去を一定の時期まで「観測」することができるという千里眼のような能力を持つアリスで、その力を使って世の中の出来事を記録するという仕事を長年任されている。成人して次のアリスに能力が移り次第、自由の身になれるという決まりのため、未来への希望は誰よりも大きい。はやく大人になりたーい!
一見可愛らしい少女のようでありながら、体つきや声など所々に少年的な印象も漂う性別不詳。本人に確認しても適当にはぐらかされるため「彼女」なのか「彼」なのかは誰にも分からない。
それでいてノリは軽くスキンシップも多い、キャピキャピ系みんなのアイドル。
「んっふっふ、キミたちのあんなことやこんなこともボクにはぜーんぶお見通しさ!」
「ちょっとくらいミステリアスな一面もあった方が魅力的でしょ~? なんてったってボクはアリスの中でもカワイイ担当だからね!」
「さぁさぁ先を急がないと時間はいつまでも待ってくれないぞ!」
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